JICEは2021年5月19日に、JICAの人材育成奨学計画(以下、JDS)を通して日本留学し、博士号を取得したウズベキスタン自動車公社の副総裁であるサルドール・タジエフ氏を講師にお招きして"Policymaking in Automobile Industry of Former Soviet Countries"と題したウェビナーを開催しました。
タジエフ氏は、ウズベキスタンのJDS留学生として2011年に国際大学国際経営学研究科で修士号を取得した後、2018年にJDS博士留学生として再来日し、2021年3月に大阪大学経済学研究科の博士号を取得しました
修士留学前はウズベキスタン自動車公社企画部の職員だったタジエフ氏は、JDS留学後に部長職等を歴任し、博士留学中の2020年1月に同公社の副総裁に就任しました。
ウェビナーにはJDS現役留学生、JDS帰国留学生のほか、ウズベキスタン自動車公社、JICAウズベキスタン事務所、現地日系企業等から約60名が参加しました。
JICAウズベキスタン事務所武村勝将次長は開会の挨拶で、コロナ禍にも拘わらず予定どおり3年間で博士号を取得したタジエフ氏を祝福すると共に、現在約400人となり多くの専門家を抱えるウズベキスタンのJDS帰国留学生に対して、「JICAと協働して同国の社会経済課題に取り組んで欲しい」旨述べられました。
次に、タジエフ氏は、プレゼンテーションの冒頭で、JDS事業の紹介やJICEに対する感謝を述べるとともに、ご子息が幼稚園の卒園式に於いて大学で授与されるような立派な卒園証書を授与されたことに感動したエピソード等を紹介しました。
プレゼンテーションのメインとなる博士論文の発表では、「ソビエト崩壊後の旧ソビエト諸国における自動車産業の発展」(第1章)について説明し、ウズベキスタン自動車産業の成功の背景にある、外国投資を呼び込む政策とロシアという大規模市場へのアクセスが大きな要因となっていたこと等を発表しました。
続いてタジエフ氏の指導教員であった大阪大学経済学研究科のピエール・ドンゼ教授から講評をいただきました。講評では、ウズベキスタン自動車産業の成功が、市場規模と政策のバランスからみて世界でも稀なモデルケースであること、また、その成功の理由を示したタジエフ氏の論文の重要性が述べられました。最後に質疑応答が行われ、1時間半のセミナーが終了しました。
JICEは今後もJDS留学生の日本での滞在が有意義となるように支援するとともに、帰国後の母国での活躍についてもフォローアップしていく所存です。
留学生事業第一部
JDS フォローアップチーム