エジプトの三大ピラミッドの近隣では、現在、大エジプト博物館の建設が急ピッチで進行しています。完成後には、約48万㎡(東京ドームの約10倍)の敷地面積を持つ超大型博物館として、エジプト考古学博物館に所蔵されているツタンカーメンコレクションを含む10万点を超す貴重な文化遺産が展示・収蔵される予定です。
JICEでは、2016年から、国立大学法人東京藝術大学と共同企業体を結成し、JICA「エジプト国大エジプト博物館合同保存修復プロジェクト」を実施しています。
JICEは、大エジプト博物館の開館に先立ち、エジプト考古学博物館及びエジプト各地から運ばれてくる展示品の収蔵、管理、保存修復のために既に完成している大エジプト博物館保存修復センターで、展示品の移送及び保存修復を行っています。
2018年11月29日に、エジプト・日本側関係者による「第3回合同調整委員会」が、ギザのホテルで開催されました。
同委員会には、エジプト側から、大エジプト博物館のタレク館長はじめ技術部門責任者が、日本側は、JICAエジプト事務所松崎瑞樹次長、坂本圭所員、JICE平川伸明事務局長、中村三樹男プロジェクト総括、西坂朗子プロジェクト副総括、盛山美砂子業務調整員に加え、岡田靖 テクニカルチーフアドバイザー/木製品保存修復専門家(一般社団法人木文研代表理事)、石井美恵 染織品保存修復専門家(佐賀大学准教授)、島津美子 診断分析専門家(国立歴史民俗博物館准教授)、大山幹成 木材材質診断専門家(東北大学助教)、増田久美 壁画保存修復専門家(増田絵画修復工房)、正田陽児 梱包・移送専門家(日本通運株式会社)、徳田英昌 梱包・移送専門家(同)が出席しました。
今回の会議では、西坂副総括によるプロジェクト全体の進捗報告があり、その後、木製品、染織品、壁画の各チームから、詳細な報告がなされ、最後に、プロジェクトの今後の活動計画について議論がなされました。
ツタンカーメン王の遺物を含む世界の至宝を扱う本プロジェクトを世界が注目しています。遺物の修復には、非常に精緻な技術、知識、労力、時間が必要となりますが、JICEは、日本人専門家及びエジプト人専門家と連携し、大エジプト博物館の開館に向けて、プロジェクトを円滑かつ成功裡に進めていきたいと思います。
JICEでは、このように、エジプトでの保存修復プロジェクト、アラブ首長国連邦やサウジアラビアでの人材育成プロジェクト等、海外での様々な分野での人材育成プロジェクトも積極的に展開していきます。
本プロジェクトについては、以下のHPもご参照ください。
http://www.jicagem.com/?lang=ja
(研修事業部 管理・プロジェクト課 楢崎 志野 記)